製造業で欠かせない装置の一つと言えば、熱交換器が挙げられるかと思います。熱交換器とは、温かい流体から 冷たい流体へと熱移動をさせ、効率的に熱交換させる装置です。様々な種類の熱交換器がある中から、今回はプレート式熱交換器に焦点を当て、メンテナンスから得られるメリットについて触れていきたいと思います。
上述しました通り、熱交換器とは、温かい流体から冷たい流体へと熱を移動させ、効率的に熱を交換する装置です。冷蔵庫や冷暖房、自動車のラジエーター等、私たちの日常生活における様々なシーンで使用されています。製造業においては電子部品や食品、液晶関係等、業界を問わず多くの製造工程(自動車の塗装ライン、半導体の製造ライン等)で使用されています。そんな重要な役割を担っている熱交換器ですが、代表的な熱交換器である多管式熱交換器、軽量かつコンパクト、高い熱交換率を誇るプレート式熱交換器等、様々な種類があります。今回は単純な構成をしており、メンテナンス性にも優れるプレート式熱交換器について触れていきます。
プレート式熱交換器とは、その名の通り、薄い金属のプレート(耐食性の高いステンレスやチタン等を使用)を用いた熱交換器です。プレートとプレートの間を1枚ずつ交互に低温と高温の流体が流れ、熱交換を行うという仕組みです。その他、ガスケットや側面に配置するガイドバー等を構成部品としており、他の熱交換器と比べて部品点数が少ないという特徴があります。プレートの数を変えることで熱交換効率を容易に変更することができ、ボルトを外すだけでメンテナンスができるという点から、利便性の高い熱交換器となっています。
ガスケットの劣化、プレートに発生したピンホールによる液漏れ、プレートに水垢や汚れが蓄積することによる効率の低下等がよくあるトラブルです。熱交換効率が低下すると付帯するチラーやポンプに大きな負荷がかかり、異常な消費エネルギーを必要とするため、付帯機器のトラブルが発生しやすくなります。
メンテナンスを行わずに熱交換器を使い続けていると、プレートへの汚れの
付着により能力が低下していきます。省エネやトラブル防止の観点から、メンテナンスは重要になってきます。
【プレート式熱交換器のメンテナンス】
目的:未然のトラブル防止と省エネ
内容:ガスケット剥離、プレート薬液洗浄、ジェット洗浄、カラーチェック、圧力テスト等
上記の内容でメンテナンスを行うことが理想ですが、お客様の状況に応じて内容を変更したご提案、メンテナンスを行うことがあります。例えば、お客様の元へ伺いその場で高圧洗浄のみで洗浄する、薬液洗浄のみで洗浄する等の方法もあります。
【お客様からいただいたご相談】
温調が必要な設備で温度コントロールがうまくいかなくなっていた。
熱交換器が原因ではないかと推測はしていたが、どうやって対応するのか分からない。
状況を調査して熱交換器が原因であることを明確にした。洗浄を提案し、熱交換率を従来の能力に戻すことができた。媒体の熱量ロスが少なくなり、約10%のエネルギーを削減することができた。温調が安定してできるため、品質に関する心配をすることが無くなった。
実際にメンテナンスを行った結果が上記写真になります。左側のプレートが洗浄前、右側のプレートが洗浄後のプレートです。プレート洗浄とガスケット交換を実施し、整備完了後の圧力検査の結果も良好。見た目でも分かる通り、新品同様の状態に戻すことができました。ガスケット交換を行ったため、ガスケット寿命の心配もなくなりました。