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リレー制御とPLC制御の違い:シーケンス制御の二つのアプローチ

作成者: Engineer Knowledge|2025年02月06日

リレー制御とPLC制御の違い

製造現場や設備の自動化において、シーケンス制御は不可欠な存在です。その中でも代表的な制御方式であるリレー制御とPLC制御について、それぞれの特徴と違いを詳しく解説します。

1.シーケンス制御の基本概念


シーケンス制御とは、機器や設備を定められた順序や条件に従って動作させる制御方式です。この制御を実現する手段として、リレー制御とPLC制御という二つの主要なアプローチが存在します。


【リレー制御の仕組み】

リレー制御は、主に電磁リレーという機械的な部品を使用して制御を行う方式です。電磁リレーは、コイルに電流が流れると磁力が発生し、この磁力によって接点が開閉する仕組みになっています。この物理的な接点の開閉を利用して、機器の電源のオン/オフや動作順序を制御します。ただし、最近ではソリッドステートリレーのように機械的動作を伴わないリレーも存在します。

この方式は「有接点シーケンス制御」とも呼ばれ、直感的に理解しやすい制御方式として長年にわたり使用されてきました。配線図を見れば、電流の流れや制御の仕組みを視覚的に理解することができます。

【PLC制御の仕組み】

一方、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)制御は、マイクロプロセッサを搭載したデジタル制御装置を使用します。PLCは、リレーの機能をソフトウェア的に実現し、プログラムによって制御を行います。

制御内容は主にラダー図と呼ばれる専用のプログラミング言語で記述され、リレー制御の配線図に似た形式で表現されます。これにより、従来のリレー制御に慣れた技術者でも比較的容易にPLC制御を習得することができます。一部のPLCではファンクション ブロック図(FBD)や構造化テキスト(ST)といった他のプログラミング形式も使用されています。

2.それぞれの特徴について


【リレー制御の特徴】

リレー制御の最大の特徴は、その直感的なわかりやすさです。電気の流れが物理的な配線によって目に見える形で表現されるため、トラブルシューティングが容易です。また、小規模なシステムであれば、部品代も安価で済むため、コスト面でも優位性があります。

しかし、制御が複雑になるにつれて必要なリレーの数が増加し、配線も複雑化します。これにより保守管理が困難になり、システムの変更や拡張にも大きな労力が必要となります。


【PLC制御の特徴】
PLCは、プログラムによる制御を行うため、制御内容の変更が容易です。また、モジュール式の設計により、入出力点数の拡張や機能の追加が比較的簡単に行えます。さらに、多くのPLCは自己診断機能を備えており、故障箇所の特定や予防保全が容易です。ただし、機種によっては機能が限定的な場合もあります。

デメリットとしては、初期導入コストが高くなる点や、プログラミングの知識が必要となる点が挙げられます。ただし、これらのデメリットを考慮しても、保守性や拡張性の高さによって十分に補われます。

3.各制御方式の適用例


【リレー制御の適用例】
リレー制御は、以下のような比較的シンプルな制御に適しています。

- 小規模な製造設備の自動化
- 照明の自動制御システム
- 簡単な搬送設備の制御

これらの用途では、制御内容が明確で変更の必要性が少ないため、リレー制御の特徴を活かすことができます。

【PLC制御の適用例】
PLC制御は、より複雑な制御が必要な場面で活躍します。
- 大規模な製造ラインの制御
- ビル管理システム
- 上下水道施設の制御
- 高度な搬送システムの制御

これらの用途では、複雑な条件分岐や多数の機器の連携制御が必要となるため、PLCの柔軟性と拡張性が大きな利点となります。

4.今後の展望


産業のデジタル化が進む中、PLC制御の重要性は更に高まっています。特にIoTやインダストリー4.0の文脈において、PLCは、SCADAシステムやIoTゲートウェイと連携することで、データ収集や遠隔監視の重要な基盤となっています。

一方で、リレー制御も信頼性の高さや直感的な理解のしやすさから、特定の用途では依然として重要な役割を果たしています。両者の特徴を理解し、用途に応じて適切な制御方式を選択することが、効率的なシステム構築の鍵となるでしょう。