製造業は全産業の中でも特に労働災害が多い業種です。安全対策・BCP対策について、弊社のブログ記事では感震器導入によるBCP対策(詳しくはこちら)、フォークリフトにLED照明を付けることによる安全対策(詳しくはこちら)について触れてきました。本記事では、棚の転倒防止による安全対策について触れていきます。
フォークリフトによる事故に関する記事でも触れましたが、工場内における災害には、人的被害、物的被害があります。これらの被害が生じるということは、会社全体の信用問題にも関わることになります。
地震によって棚が倒れ、棚の中のものが人にぶつかりケガをしてしまうケースや、場合によっては死亡事故に繋がるケース等があります。また、避難経路を確保していなかったために、倒れた棚が邪魔で避難を妨害するケース、棚から落ちてきたものを踏むことによって人が転倒するケースもあります。物的被害においては、薬品や危険物を取り扱っている場合、二次被害を起こすことがあります。また、地震の後、速やかに工場を稼働させるためには、設備が無事であることや棚に保管しているワーク、工具、その他必要なものを確保している必要がありますが、棚が倒れてしまうとそれらが使い物にならなくなり、工場を再稼働させるにも手間と時間がかかってしまいます。これらのリスクを回避するためにも、棚の補強や落下防止バーの設置等の対策が必要になります。
棚が倒れてきたり棚の中のものが落下してくるのを防ぐためには、何らかの方法で対策を講じる必要があります。下記にていくつか方法をご紹介いたします。
棚を床固定する・・・
床にアンカーボルトで穴をあけて固定する方法と、ウレタンを活かしたマットの付いた金具やゲル状のもの等を用いて、穴をあけずに固定する方法があります。
穴をあけずに固定する方が、床面を傷付けることなく施工が可能で、レイアウト変更の際もスムーズに取り外しができるというメリットがあります。後付けで地震対策として床固定を検討される際には、状況にもよりますが、穴をあけない固定をおすすめいたします。
棚同士を連結させる・・・
向かい合う棚同士を連結させることを天つなぎと言います。アンカー打ちをしないため、床を傷付けずに地震対策をすることができます。壁から遠い場所、部屋の中央部等に棚を設置する場合に有効となる方法です。
落下防止バーを設置する・・・
バーやベルト、ネット等を使って、棚の中のものが落下しないようにすることも必要です。落下防止バーを設置することで、揺れが起こっても棚の中のものが落ちるのを防ぐため、危険物や化学薬品が広がるのを防ぐことができます。また、部品の損傷や人身事故の防止にも繋がります。バーがあると邪魔になってワークを取り出すのが手間になるというお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、そういった場合は、スムーズに動かすことができる仕様のバーを使えば問題ありません。
簡易的ではありますが、突っ張り棒を取り付けるという方法もあります。ご紹介してきた方法が一般的な棚の地震対策です。とはいえ、いくら対策をしても予想しなかった形で棚が倒れてしまうことがあります。そういった可能性を考えると、棚が倒れても人が十分に避難できる通路を確保しておくことが大切です。棚の固定をすることも大切ですが、対策というのは最悪のケースを想定したほうがトラブル発生時に迅速な対応ができます。「地震対策は充分やっているつもりだけど、本当に問題がないか心配」、「まだ対策しきれていない」という方はぜひご相談ください。地震対策のご提案から現場確認まで一貫して対応させていただきます。お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
【お客様からいただいたご相談】
①食堂や事務所等に設置してある棚の安全対策がしたい。今後レイアウト変更する可能性が高いため、
できればアンカーを打たない固定をしたいが、どのようにすれば良いか分からない。