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油圧入門編①

作成者: Engineer Knowledge|2021年12月13日

油圧入門①

1.油圧とは


油圧とは、油で与えられた圧力を利用してエネルギーの伝達を行い、これを自由に制御する方式または装置を一般的に油圧といいます。油圧機器は工作機械、建設機械、農業機械、レジャー施設などに使われています。
油圧を動力の媒体に油圧油を使用する理由としては下記の点が挙げられます。
 ①圧縮性が小さい
 ②潤滑性が良い
 ③粘性が高い
 ④防錆性がある
 

2.圧力とパスカルの原理

油圧はパスカルの原理を応用して小さな力で大きな力を出力しています。
パスカルの原理とは「密閉容器の中の流体の一部に加えた圧力は流体のすべての部分にそのままの強さで伝わる」という原理です。このパスカルの原理の考え方を用いて、小さな力で大きな力を得ることができます。
 

右図で油圧における力の拡大を簡単に説明します。大きいピストンの面積は小さいピストンの10倍です。小さいピストンの力:10kgf(98.067N)は大きいピストンの100kgf(980.67N)とつりあいます。また小さいピストンを50mm押し込むと、大きなピストンは1mm上昇します。つまり力はシリンダの面積に比例して増大し、距離は面積と反比例します。

3.油圧システム概要

【油圧装置の基本構成】

油圧のシステムは基本的に油圧ポンプ、圧力・流用・方向を制御するバルブ、アクチュエータの3種類から構成されています。

まず電動機から得られる動力を油圧ポンプで油圧の動力に変換します。油圧ポンプで作動油に高い圧力が加えられ、用途に応じて様々な制御部(バルブ)を通過します。作動油がアクチュエータに入ると油圧動力から機械的な動力に再び変換され、様々な仕事を行います。

4.油圧の仕事三要素

上述の通り、油圧アクチュエータが最終的に仕事をします。仕事には次の3要素があり、その各要素を設定するための油圧制御弁がそれぞれ用意されています。

仕事の大きさ=仕事に必要な力(シリンダの出力):圧力制御弁で制御
  F(出力)=A(面積)×P(圧力)
仕事の速さ=仕事をするスピード(シリンダの動くスピード):流量制御弁で制御
  図で、C側に入れる油圧の量を多くすると早く前進
     C側に入れる油圧の量を少なくすると遅く前進
仕事の方向=仕事をする方向(シリンダの前進/後退):方向切替弁で制御
  図で、C側に油圧を入れるとロッドは前進
     Hに油圧を入れるとロッドは後退

 

5.油圧の長所・短所

<長所>
①大きな操作力が比較的簡単に得られ、その制御が容易である。
②運動の速度を無段階に変速することができる。
③往復運動の切り替えが容易にでき、往復運動時の速度制御・位置決めを行うことができる。
④運動方向・速度が遠隔操作でき、自動操作も容易にできる。
⑤電気的操作との組み合わせが簡単にできる。
⑥過負荷に対する安全装置が簡単に得られる。

<短所>
①直接動力を伝達する場合より効率が悪い。
②油圧油の性質上、温度の影響を受けやすい。
③外部漏れが発生しやすい。
④火気に反応して火災の危険性がある。
⑤油圧油中に空気が混入すると油圧装置は作動不良を起こす。また油の中にごみが混入してしると故障を起こす。