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産業用ロボットのメンテナンス:安定稼働を支える重要な取り組み

2025年02月19日

 

産業用ロボットのメンテナンス

製造業のDX化が進む現代において、産業用ロボットは生産性向上の要となっています。24時間365日の稼働が求められる生産現場では、これらのロボットを適切に維持管理することが極めて重要です。本記事では、産業用ロボットのメンテナンスについて、その重要性から具体的な実施方法まで詳しく解説します。

1.メンテナンスの重要性


ロボットアーム

産業用ロボットのメンテナンスは、労働安全衛生法の観点からも非常に重要です。同法に基づく労働安全衛生規則第150条の4では、事業者に対し、産業用ロボットの運転開始前および定期的な点検を実施し、その結果に基づいて必要な整備を行うことが義務付けられています(参照元:厚生労働省)。 これらの措置により、労働災害の防止と作業者の安全確保が図られます。また、同規則では、産業用ロボットの教示や検査等の業務に従事する労働者に対して、特別教育を実施することが定められています。この教育では、産業用ロボットの構造や機能、操作方法、安全装置の取り扱いなど、メンテナンスに必要な知識と技能の習得が目的とされています。適切なメンテナンスと教育の実施により、産業用ロボットの安全な運用が可能となります。これらの法的要件を遵守することで、産業用ロボットの適切なメンテナンスが行われ、作業者の安全確保と労働災害の防止につながります。

上記のようなメンテナンスを怠ると、予期せぬ故障による生産ラインの停止や、製品品質の低下などの深刻な問題が発生する可能性があります。さらに、突発的な故障への対応は、計画的なメンテナンスと比べて大幅なコスト増加につながります。メンテナンスを適切に実施することで、設備の稼働率が向上し、生産性を最大限に引き出すことができます。また、突発的な故障を防ぐことで、修理コストの削減にもつながります。メンテナンスを適切な頻度で行うことでロボットの寿命を延ばし、設備投資の効率を高めることができます。

2.メンテナンスの種類と実施内容

作業員産業用ロボットのメンテナンスは、大きく分けて三つのレベルがあります。それぞれの特徴と重要性について詳しく見ていきましょう。

1. 日常点検

日常点検は、各シフトの開始前後に実施する基本的な点検作業です。作業者が目視や聴覚による確認を行い、異常な振動や音、油漏れなどの有無をチェックします。また、安全装置の動作確認も重要な点検項目です。これらの点検により、早期に問題を発見し、大きな故障を防ぐことができます。

2. 定期点検
定期点検は、月次や四半期ごとなど、計画的に実施する詳細な点検です。点検の種類によっては、生産ラインを部分的に停止する必要があります。 主な作業内容には、各部の磨耗状態の確認、制御系統の動作チェック、各種センサーの校正、油脂類の補充や交換などが含まれます。

3. オーバーホール
最も大規模なメンテナンスであるオーバーホールは、ロボットの使用環境や稼働時間に応じて数年に一度実施されることが一般的です。ロボット本体を分解し、内部の清掃や摩耗部品の交換、各種調整を行います。特に重要な作業として、減速機の点検、グリース交換、シール類の交換、電気系統の総点検などがあります。

3.メンテナンス実施者に求められるスキル


産業用ロボットのメンテナンスには、高度な専門知識と技術が必要です。メンテナンス担当者には、以下のようなスキルが求められます。

まず、機械工学の基礎知識に加え、電気・電子工学、制御工学、ロボットプログラミングなどの幅広い技術的知識が必要です。また、ロボットの構造や動作原理を深く理解し、制御ソフトウェアの設定やエラーログの解析ができることも重要です。

問題解決能力も必須のスキルです。異常が発生した際には、原因を特定し、適切な対処方法を素早く判断する必要があります。さらに、予防保全の観点から、将来起こりうる問題を予測し、適切な対策を講じる能力も求められます。
PC スキルがある人

4.効果的なメンテナンス実施のための体制づくり


メンテナンスを効果的に実施するためには、適切な体制づくりが重要です。具体的には以下のような取り組みが必要です。

まず、明確な点検計画の策定です。日常点検、定期点検、オーバーホールそれぞれについて、実施時期や担当者、点検項目を具体的に定めます。この際、製造ラインの稼働状況を考慮し、生産への影響を最小限に抑える計画を立てることが重要です。
チェックリストを持つ人
次に、点検結果の記録と分析です。点検で得られたデータを適切に記録し、傾向分析を行うことで、将来の故障を予測することができます。これにより、予防保全の精度を高めることが可能です。

さらに、メンテナンス担当者の継続的な育成も重要です。技術の進歩に対応するため、定期的な研修や技術講習の実施が必要です。また、ベテラン技術者から若手への技術伝承も重要な課題となっています。

5.今後の課題とサカエでできるメンテナンス


産業用ロボットのメンテナンスは、技術の進歩とともに変化を続けています。IoTやAIの活用により、一部の企業では予知保全の導入が進んでいます。センサーデータの分析による故障予測には高度なデータ処理技術が必要ですが、導入企業ではメンテナンス効率の向上が期待されています。一方で、専門技術者の確保や育成、技術伝承などの人材面での課題も存在します。これらの課題に対応しながら、より効果的なメンテナンス体制を構築していくことが、製造業の競争力維持向上のために重要となっています。

さて、弊社では、労働安全衛生法および関連法規に準拠した産業用ロボットのメンテナンスを承っております。
自社内でメンテナンスを完結される企業様もいらっしゃいますが、アウトソーシングによって以下のようなメリットが得られます。

・休日出勤の削減により、作業者の負担を軽減できる
・他の設備のメンテナンスに集中し、全体の保全計画を最適化できる
・メーカーや業者の調整不要で、スムーズな点検が可能

産業用ロボットの点検には、メーカーや業者との日程調整や計画的なスケジュール管理が不可欠です。弊社では、これらを一元管理し、計画的なメンテナンスをサポートいたします。ロボット点検に関するお悩みやご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください。

 

 

株式会社サカエ

株式会社サカエ

伝動・油空圧機器から検査装置まで扱う技術商社。ロボット導入や画像検査装置導入により生産現場の自動化や省力化を実現させるご提案をします。

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