BCP対策事例④ 変圧器の耐震対策で停電を予防!
今回は、BCP対策事例④ということで、ファシリティの中でも特に重要な電気設備の停電対策について考えていきたいと思います(その他BCP対策に関する記事はこちらから!)。
過去アップした記事の中でも、停電対策としてUPSや非常用発電機の導入について触れました。「非常用発電機を導入しておけば停電対策は充分」と考えられる方がいらっしゃるかもしれませんが、実はそれだけでは不十分な場合があります。以下では、非常用発電機やUPS等の動力源以外の部分での対策事例について解説していきます。
1.電気設備の重要性
建物内は、電力供給によってさまざまな機器が稼働し、目的に応じた建物の機能維持が図られています。
電力供給を守るために、BCP対策として発電機を導入・増設するケースは多く見られますが、受変電設備が被災した場合、電力の供給が断たれてしまうケースがあります。電力供給が断たれると、電力を必要とするあらゆる機器や建物機能に多大な影響を及ぼします。そのため、電気の供給を止めさせない対策が必要となります。
2.変圧器の役割
発電所で作られた電気は電圧が高いため、そのまま使用することができません。各施設に電力を供給するには、変圧器を用いて電圧を変える必要があります。
変圧器は、電力を変換し、適切な電圧や電流に変換する装置です。裏を返せば、変圧器が故障すると、建物全体に電力を供給することができなくなるということになります(下図参照)。
下図は3.11東日本大震災による変圧器の被害事例です。
ボルト抜けや破損、変圧器の傾きが原因の地絡・焼損、フレキ余長以上の二次側端子の揺れからの引張などがあります。
こういった事態を避けるためには、変圧器の耐震対策を施す必要があります。
3.変圧器が故障するとどうなる?
■ 送電が継続している場合 又は 送電が再開した場合
地震発生後に送電が継続している場合、または復旧により送電が再開した場合においても、変圧器が損傷していれば、停電状態は長期化します。変圧器を交換しようにも、納期が長かったり、工事業者が確保できなかったりと、不便を強いられる・生産の再開ができない等の事態になりかねません。
4.電源確保に向けた対策
これまでお伝えしてきた通り、BCP対策として非常用発電機を導入されるケースが増加してきてはいますが、変圧器を経由して配電される非常用発電機の場合、変圧器が被災すれば電力供給はできません。変圧器は受変電設備の要と言えます。
変圧器の耐震対策を進めるにあたり、今回ご紹介するのは、特許機器(株)の変圧器用耐震装置【TTR型】です。
【キュービクル型】
左図:耐震フレーム形状は、設置条件(新設・既設)により異なります。
右図:実物例
【支柱型】
右図:実物例
【製品の特徴】※建物が免震構造の場合は本製品の
〇 変圧器頭頂部の特殊アブソーバにて地震動による変位を大幅に抑制
〇 連続した地震に対しても効果を発揮(連続実大加振実験済)
〇 既設・新設いずれも設置可能(季節変圧器は3Dスキャナにて通電状態で寸法確認)
〇 装着された防振装置の効果を損ないません
耐震対策の現状を考慮し、変圧器に耐震装置を設置することで耐震性能が向上し、非常時における電源確保に貢献できます。
【実験で入力した大地震波】
・JMA神戸(兵庫県南部地震 1995年)
・芳賀波(東北地方太平洋沖地震 2011年)
・益城波(熊本地震 前震・本震 2016年)
・追分波(北海道胆振東部地震 2018年)
・山元波、相馬波、福島波(福島県沖地震 2021年)
【動画で詳しくご説明】
5.導入事例
自動車分野 | 自動車工場での事例
【導入背景】
3.11東日本大震災で多くの変圧器が損傷。一次端子短絡時の衝撃でキュービクル自体も変形し、変圧器盤以外の列盤も全て交換しなければならなくなった。
【耐震化仕様】
キュービクル一体型でのご採用。
(設計段階でキュービクルメーカーと仕様打合せ及び工場組立にて納入・設置)
【その他】
施設ご担当者のBCP意識が高く、キュービクル改修の際は順次採用されるよう自社内でプレゼン中とのこと。
エネルギー産業分野 | エネルギー産業管理施設
【導入背景】
災害時に所轄エリアの災害対策本部が設置される施設であることから、重要拠点として耐震対策の必要性を考慮し、採用が決定。
【耐震化仕様】
受変電設備更新時に、キュービクル一体型耐震装置を設置。
【その他】
その他エリアについても、同様の重要拠点への採用を検討中。
最後に簡単に本記事の内容をまとめますと、
・BCP対策に不可欠な電力確保に向け、停電しない・停電を長期化させないための耐震対策が必要。
・耐震対策はまず“変圧器”から!
効率的な減震対策(被害低減・早期復旧)を変圧器用耐震装置が実現します!
以上、いかがだったでしょうか。BCP対策についての検討が必要な場合は、ぜひ弊社までご相談ください。「何からはじめれば良いか分からない」「次はどこの対策をしよう?」などのご相談から一緒に考えていければ幸いです。