工場の自動化とは？メリット・デメリット、成功事例を解説！

工場の自動化の概要

工場の自動化とは、生産ラインや製造プロセスを、機械やロボット、ソフトウェアなどのシステムで制御することを指します。ロボットを導入することによって生産性を高める方法や、IoTの活用によるスマートファクトリー化など（IoTに関する記事一覧はこちら）、一口に自動化と言っても方法は様々です。今回は、ロボットや機器、ソフトウェアの導入による工場の自動化についてご紹介したいと思います。

1．よくある現場の課題

「工場の自動化を進めたい」と思う方の中には、自動化のメリットをなんとなくは理解しているけど、そもそも何を自動化したら良いか分からない・自社の課題が把握できていない、という方もいらっしゃいます。そこで、まずはよくある現場の課題からご紹介したいと思います。
〇　人手不足

過去の記事でもご紹介しましたが、労働人口の減少・少子高齢化が進む昨今では、慢性的な人手不足・技術伝承の問題等、人材確保・人材の定着がより重要な課題となっています。人1人にかかる業務負担を減らし、自動化できる部分を自動化することで、人の作業負担軽減を図ることができます。

〇　生産数のバラつき

生産数のバラつきもよくある課題として挙げられます。これは、機械の故障や材料供給の遅れ、作業員の技能差など、様々な要因によって引き起こされます。生産数のバラつきが多いと、生産計画の立案や在庫管理が困難になり、生産効率の低下や顧客への納期遅れなどの問題が発生します。

〇　危険作業をなくしたい

工場での作業は、機械の動作や作業環境の特性により、様々な危険を孕んでいます（安全対策に関する記事はこちら）。例えば、重機やコンベアの動作中に挟まれる、高所からの落下、機械の故障による事故等が挙げられます。また、工場内では作業場所が複雑で、作業者同士や機械との接触事故が発生することもあります。そのため、工場では安全対策が重要となります（安全対策に関する記事はこちら）。この危険な作業を、自動化によってロボットが代わりに行えば、作業者が危険な作業をする必要がなくなり、安全性が確保されるようになります。

2．工場の自動化のメリット

産業用ロボット(ベルトコンベア) 工場の自動化には以下のようなメリットがあります。

1.生産効率の向上

自動化によって作業効率が向上し、生産能力が向上します。自動化された生産ラインは、人が作業を行うよりもはるかに高速で作業を行うことができます。また、機械やロボットは24時間稼働可能なため、生産ラインの停止時間が削減されます。

2.品質の安定化

自動化された生産ラインでは、プログラムや設定に従って機械が動きます。例えば、自動化された組立ラインでは、ネジの締め付けトルクや部品の位置などが常に一定に保たれます。万が一不良品が紛れ込んだとしても、製品の寸法や外観を高速かつ正確に評価し、不良品を自動的に排除します。

3.コスト削減

コストダウン
自動化により、労働力の人件費や人為的なエラーによる廃棄物の削減など、様々なコスト削減効果が期待できます。人件費では、例えば、製品の組み立てや検査、搬送などの作業が完全に自動化されると、その分人を雇う必要がなくなります。これにより、人件費を大幅に削減することができます。エラーによる廃棄物の削減では、人が行う作業には、どれだけ教育や仕組みを徹底しても、エラーや不良品が発生することがあります。これを自動化することによって、機械が一貫した精度で作業を行うため、不良品の発生率が低下し、結果、製品の廃棄物や再加工の必要性が減少し、生産コストを削減することができます。

4.安全性の向上

人間の労働力では、作業の一貫性や品質管理が難しい場合がありますが、機械はプログラムに従って一貫した作業を行います。つまり、製品の品質を保ちつつ、製品のバリエーションや仕様の変更にも迅速に対応できることを意味します。

3．工場の自動化のデメリット

工場の自動化にはデメリットもあります。

1.導入コストと導入時間
お金のことを考える男性

自動化システムの導入には、高額な初期投資が必要です。設備やロボット、センサー、制御システムなどの購入に加えて、それらを統合・導入するための設計、プログラミング、導入後のランニングコストなどにも多額の費用がかかります。また、導入には時間がかかります。特に、既存の生産ラインにロボットを統合する場合、ラインの再構築や改装が必要になることがあります。これには、追加のコストと時間がかかる可能性があります。

2.技術的な問題やトラブルシューティング

困り顔で考える若い男女作業員-1
自動化システムには技術的な問題が発生する可能性があります。例えば、機械の故障やプログラムのバグなどが挙げられます。これらの問題を解決するためには、専門知識や経験豊富な技術者が必要となります。また、自動化された生産ラインは一度に特定のタスクに特化したプログラミングがされています。そのため、急な製品変更や生産ラインの再構築が困難な場合があります。