ヒートポンプ使用による省エネ事例
1.ヒートポンプとは
ヒートポンプとは、少ないエネルギーで空気中の熱(空気熱・地中熱・放熱等)を集め、大きな熱エネルギーを作り出す技術のことです。家庭用では主に冷暖房や給湯で使用され、産業用では熱源を利用する各装置等に使用されます。廃熱を熱源として利用することもあれば、空気熱源を利用することもあります。化石燃料(石油や石炭)を必要としないため、CO2の削減にも寄与します。工場でヒートポンプを導入すれば、生産工程で発生した熱を利用することができるため、一次エネルギー消費量の削減にも繋がります。
2.ヒートポンプを導入するメリット
工場の生産ラインで温熱を利用する際、ボイラーや電気ヒーターなどの加熱機器を用いることが多いです。集中設置されているボイラー室から配管により現場へ蒸気を供給。減圧弁で温度や気圧を調整し、現場で使用。ここで課題として挙げられるのが熱ロスです。ボイラー室から配管、配管を通して現場へ、という工程を経ているため、各工程で熱ロスが発生してしまいます。熱ロス削減対策として産業用ヒートポンプを導入すれば以下のメリットがあります。
-
【導入後のメリット】 -
1.ランニングコスト削減
2.CO2排出量削減
3.管理運⽤の簡素化
4.生産品質の安定
ヒートポンプは作業場へ直接設置することができます。作業現場に充満している空気を熱源にすることができるため、化石燃料による加熱も必要ありません。CO2の削減が省エネ、カーボンニュートラルに対する取り組みに繋がります。
3.産業用ヒートポンプのシステム事例:洗浄工程の洗浄液加温
下記のシステム図は、洗浄工程の洗浄液加温でヒートポンプを導入した際の事例です。
1.熱源ユニットで周辺の空気を利用して温度を上昇。
熱エネルギーを供給ユニット内で循環する一次水の昇温に利用。
2.供給ユニットから熱交換器を介して二次水(洗浄水)を昇温させる。
3.熱交換器を介して昇温された二次水(洗浄水)は洗浄機のタンクに貯蔵される。
従来使用していた熱源を利用する装置からヒートポンプへの置き換えで、約40%の省エネが達成できた実例もあります。