製造業におけるITリテラシー教育の重要性
前回の記事では、ペーパーレス化によって得られる恩恵と、ペーパーレス化を進めるためのステップについて考えました。その中で、セキュリティ対策とリスク管理について言及しました。サーバーやソフトウェアをオンプレミス型で管理する場合でも、市場に流通しているパッケージ品を運用する場合でも、ITに関する知識や考え方の型を知っていること・活用できることは非常に重要です。
とはいえ、ITに関する知識やそれを適切に活用することのできない方はまだまだいらっしゃいます。今回は、製造業におけるITリテラシー教育の重要性について触れ、ITリテラシー向上の方法について考えていきます。
1.製造業におけるITリテラシー
ITリテラシーとは、情報技術(IT)を効果的に活用するための知識や技能を指します。パソコンやスマートフォンの操作、インターネットの利用、各種ソフトウェアの使用方法などが含まれます。また、データの管理やセキュリティ対策、プログラミングの基礎知識など、より専門的なスキルも含まれることがあります。
現代社会では、ITリテラシーが高いことが業務の効率化や生産性の向上に直結します。特に製造業では、IoTやデータ分析を活用した生産プロセスが進んでおり、これらの技術を効果的に利用するためのITスキルが求められます。
2.ITスキルが製造業の生産性に与える影響
【生産プロセスの自動化】
ITスキルが高い従業員は、製造プロセスを自動化するためのツールやソフトウェアを効果的に利用することができます。それにより、手作業によるミスが減り、生産性が大幅に向上します。
【データの活用】
ITスキルを習得した人材がいれば、製造現場から収集されたデータを分析し、生産プロセスの最適化を図ることができます。データ収集から分析、その後の改善までできるようになれば、設備の効率的な運用が可能になります。
【リアルタイムモニタリング】
IoT製品を導入すれば、機械や設備の稼働監視を常時行えるようになります。これにより、問題が発生した際に即座に対応できるため、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。ただし、稼動監視ができるIoT製品を導入しても、それを利活用できる人材がいなければ宝の持ち腐れになってしまいます。そのため、一定程度のITスキルを身に着けることが非常に重要です。
【コスト削減】
ITスキルを活用してエネルギー使用量を最適化したり、在庫管理を効率化することで、経営コストを削減することができます。在庫管理に関するIoT製品につきましては、過去アップしたこちらの記事をご一読ください。貴社の在庫管理を最適化することができるかもしれません。
ITスキルは製造業の生産性向上に不可欠な要素です。自動化、データ分析、機械・設備の常時監視など、IT技術を駆使することで、効率的かつ効果的な生産プロセスを実現することができます。
3.ITリテラシー向上に向けて
前述した通り、ITスキルを持った人材が増えれば増えるほど、効率化を進めることが容易になります。また、DX化やFA化が謳われる昨今においては必要不可欠なスキルとも言えます。一部の大企業ではDXの推進が進んでいますが、中小企業ではIoT化・DX化の取組みが遅れているところが多いです。
では、急いでデータ分析の外部研修を受けてもらおう・プログラミング講習を受けてもらおうといった流れに持っていくのは早計かもしれません。人それぞれ、もともと持っているITに関する知見は違います。タッチタイピングが苦手な方もいますし、Excelの関数を使ったことのない方もいます。大々的に専門スキルが求められる研修を行うよりも先に、個々の業務内容やキャリアプランに沿った研修やプログラムを準備する必要があります。
4.ITリテラシー向上のための教育プログラム
ITリテラシー向上のための教育プログラム作成に当たり第一に考えることは、誰でも身に着けておくべき、汎用的なスキルにフォーカスして考えることです。例えば、タッチタイピングの習得や基本的なExcel関数(SUM関数、IF関数など)の習得などです。その他、パワーポイントを使ったプレゼン資料の作成や、ピボットテーブルを使った簡単な分析などもできるようになると良いでしょう。
では、具体的にどのように教育プログラムを組むと良いでしょうか?
【タッチタイピング】
パソコンを使う機会の多い職種の方がまず習得すべきはタッチタイピングでしょう。無料でタイピング練習のサービスを提供しているサイトは多くあります。毎朝10分間、タイピングの練習をする時間を作ったり、スコアを競い合ったりする社内イベントの開催などが効果的です。
タイピングの速度が速くなるだけで、業務速度は驚くほど速くなります。例えば、これまで1件に5分かけていたメールの返信作業が、3分になったとしましょう。1日20件のメールを返信するとして、40分の業務時間削減に繋がります。空いた40分で別の生産的な業務を行えば、売上アップや残業時間の削減に繋がります。
【Microsoft Officeの活用】
前述しました通り、ExcelでSUM関数やIF関数を使えるように講習を開いたり、Excel操作に関する基本的な考え方、データの扱い方についても研修内容に組み込むと良いでしょう。
担当する業務に関わるデータ出しの作業スピード向上が期待できます。また、COUNTIF関数やVLOOKUP関数などが使えると、なお良いでしょう。1つのExcelファイルに複数のシートを用意し、抽出したデータを貼り付けるだけで欲しいデータが取れる、というフォーマットを1度作ってしまえば、仮に毎日、毎週、毎月出しているデータがあるとするなら、それらの業務時間を圧倒的に削減することができるでしょう。
【e-ラーニングを活用した研修】
リアルタイムで行う外部研修を行うのも有効ですが、忙しい中で中長期的に研修を行うことが難しい場合もあるかと思います。そんな方にオススメなのが、受けるタイミングも、受ける内容も自分で選ぶことのできるe-ラーニングの活用です。自社の目的に合わせた研修プログラムを組むことができます。
ここでは、どの職種の方にも役立つITに関する研修プログラムの内容について触れました。タッチタイピングやExcelの活用、自社のソフトウェアの操作理解など、基本的なスキルを身に着けた後、はじめて自社で必要な人材を育てるための取組み(目的に沿った外部研修の設定、e-ラーニングの活用など)が役に立ちます。
弊社では、多くのIoT製品群を提供しています。モーターの稼働監視が手軽で安価にできるものや、貴社の設備の稼働状況を見える化し、改善・生産性を向上させるためのパッケージ品のご用意もございます。
ITやIoTに関するご相談がございましたら、お気軽にご相談ください。お役に立つことができれば幸いです。