組立の自動化に関する基本を解説!
これまで、工場の自動化に関する知識を補完する記事を一緒に見てきました。そもそも工場の自動化とは?という話から始まり、自動化の失敗例や検査の自動化についてなど、様々なトピックについて触れました。皆さんも、自動化とはなんなのか、どういう流れで進めていけば良いかなど、理解が深まってこられたことと思います。そんな皆さんに向けて今回は、組立の自動化に関する基本をご紹介したいと思います。
1.組立自動化とは何か?
組立自動化とは、工場や生産ラインにおいて、組立作業を自動化する技術とプロセスのことを指します。従来、人によって行われていた部品の組み立てや取付、検査などの工程を、機械やロボットを用いて行うことにより、
生産性の向上、品質の一貫性確保、コスト削減などを実現します。
【組立自動化の基本要素】
1.自動化機器とロボット
組立自動化の中心となるのが、ロボットアームや協働ロボットなどの自動化機器です。これらの機器を使うことで、高精度で繰り返し可能な動作を実行することができ、人手による作業の代替や補助を行います。最新のロボットは柔軟性が高く、多様な作業をこなすことが可能です。
2.制御システム
自動化には、ロボットや機械を制御するためのシステムが不可欠です。PLCや産業用PCを用いて作業の順序や動作をプログラムし、自動化ライン全体の管理を行います。
3.センサー技術
自動化された組立作業では、センサーが重要な役割を果たします。光学センサー、圧力センサー、距離センサーなどが使用され、ワークの位置確認や品質検査を行います。センサーから得られるデータをリアルタイムで解析し、組立作業の精度を高めます。
4.ソフトウェアとAI
組立自動化の進化には、ソフトウェアとAIの導入が欠かせません。画像認識技術や機械学習を活用することで、複雑な組立作業や検査作業を自動化し、効率を向上させることができます。また、AIは異常検知や予防保全にも利用され、トラブルの未然防止に役立ちます。
2.組立自動化の主なメリット-生産性向上とコスト削減
1.生産性の向上
自動化された組立ラインは24時間稼働が可能であり、人手による作業よりも高速で正確な作業を行うことができます。より多くの製品を短時間で生産することができ、生産量が飛躍的に増加します。
2.品質の一貫性
人による作業では、ばらつきが発生してしまいます。それらの避けられないばらつきを排除し、高い精度での組立が可能になります。これにより、製品の品質が安定し、顧客満足度が向上します。
3.コスト削減
労働力不足や賃金の上昇といった問題に対処するためにも、組立自動化は有効です。初期投資には大きな金額が必要ですが、長期的には人件費の削減や不良品の減少によるコスト削減効果が期待でき、企業の収益性の向上に寄与します。
前述しました通り、人手不足の問題を緩和し、人的ミスによる不良品の削減、作業環境の改善など、間接的なメリットが多数あります。
3.組立自動化の課題と解決策
組立自動化は、多くのメリットを持つ一方で、いくつかの課題も伴います。これらの課題に対する適切な解決策を講じることで、より効果的な自動化の実現が可能となります。
課題1:初期導入コスト
上述しました通り、組立自動化のシステム導入には、高額な初期投資が必要です。自動化機器、ロボット、制御システム、センサー、ソフトウェアなど、多くの設備や技術が必要となります。そのため、特に中小企業にとっては、導入コストが大きな障壁となります。
課題1に対する解決策
【段階的導入】
全面的な自動化を一度に行うのではなく、段階的に導入することで初期投資を抑えます。まずは、最も効果の高い部分から自動化をはじめ、順次他の工程にも展開するような流れで進めると良いかもしれません。
【補助金や助成金の活用】
各種政府補助金や助成金を活用することで、初期導入コストの負担を軽減することができます。自動化やデジタル化に関する助成金を調査し、積極的に活用すると良いでしょう。その際は、弊社にもお声がけください。
課題2:技術的な複雑さ
組立自動化システムの設計、導入、その後の運用には高度な技術が要求されます。複雑なシステムを効果的に運用するためには、専門知識を持つエンジニアの確保が必要です。また、システムのメンテナンスやトラブルシューティングも、技術的に難しい場合があります。
課題2に対する解決策
【トレーニングと教育】
社内のエンジニアに対して、適切なトレーニングと教育プログラムを提供し、スキルを向上させます。また、外部の専門家や技術パートナーからのサポートも活用すると良いでしょう。弊社でも、導入時に今後の運用の仕方について相談することができます。ご活用ください。
【システムの簡素化】
システムを可能な限り簡素化させ、使いやすさを向上させます。直感的なUIや自動化されたメンテナンスツールの導入が有効です。
課題3:サイバーセキュリティ
自動化システムがインターネットに接続されている場合、サイバー攻撃のリスクが伴います。これにより、生産ラインの停止やデータの流出と言った深刻な問題が発生する可能性があります。
課題3に対する解決策
【セキュリティ対策の強化】
システムのセキュリティを強化するために、最新のセキュリティパッチを適用し、ファイアウォールやウイルス対策ソフトを導入します。
【定期的な監査と評価】
セキュリティ専門家による定期的なシステム監査と評価を実施し、潜在的な脆弱性を早期に発見して対策を講じます。
上記の課題に対する解決策を適切に実施することで、組立自動化に関わらず、自動化全般の効果を最大限に引き出し、製造プロセスの効率化と競争力の向上を図ることができます。
4.組立自動化の具体的な適用事例
弊社では、随時自動化に関する記事や導入事例をアップしております。下記では、組立の自動化に関する2つの事例をご紹介します。
1.ゴム栓挿入装置導入による省人化
ゴム栓挿入装置の導入により、2名の省人化とサイクルタイムの200%向上を実現。装置は、2種類のパーツフィーダーで整列させたゴム栓をエアシリンダで挿入し、カメラ付きロボットでワークをピッキングして多品種対応を可能にしています。さらに、供給ユニット1台で省スペース化と段取りレスを達成し、コストダウンにも成功しました。最終的に、ゴム栓挿入後のワークは画像検査を経て排出されます。
2.多品種ネジ締めの自動化実現
樹脂BOXのネジ締めを自動化する装置を導入し、作業者1名の作業負担を軽減しました。この装置は成型機と連結され、多品種小ロットに対応するために2段階の位置決めを行い、精度を確保しています。段取り作業は非常に簡単で、中板の供給のみ10秒ほどで完了できるため、生産性の向上と作業効率の改善に貢献しました。
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お役に立つことができれば幸いです。